【“やる気・意欲”がリハビリでの機能回復に重要と、脳科学的に証明 】

マークスター 豆知識 やる気や意欲がリハビリに重要

 

「うつ傾向や意欲低下のある方のリハビリは、機能回復を遅らせる」、「経験上、意欲の高い方ほど回復も早い」などは以前より言われていましたが、実際に心理機能面が機能回復にどの程度関連するのかは解明されていませんでした。

 

2015年、生理学研究所の西村准教授らと理化学研究所の共同研究チームは、脊髄損傷後のサルの機能回復に“やる気・意欲”が関連していると、米国科学誌のScience誌に報告。

“やる気・意欲”をつかさどる「側坐核」が、運動機能をつかさどる「大脳皮質運動野」の活動を活性化し、運動機能の回復を支えることを脳科学的に証明しました。

 

①脊損前に側坐核を薬剤で不活性化→運動機能に影響なし。

②脊損後約1ヶ月→一旦治り始めた運動機能が障害され、大脳皮質運動野の神経活動が低下。

③完全に機能回復した脊損後約3ヶ月→運動機能に影響なし。

 

この結果から、機能回復途中での側坐核による運動野の活性化がリハビリによる機能回復を支えていると証明。

西村准教授は「リハビリテーションにおいては運動機能を回復させることばかりが重要なのではなく、“やる気や頑張り”を支える側坐核の働きが大切である。実際の患者においては、脳科学や心理学などに基づく心理的サポートが重要」と述べています。


<参考>

Yukio Nishimura, et al. Function of nucleus accumbens in motor control during recovery after spinal cord injury. Science. Oct. 2015